副業を始めて最初の確定申告シーズン、私は完全に油断していました。「年20万円までなら申告しなくていい」——どこかで読んだこのフレーズを、そのまま信じていたんです。結論から言うと、この理解は半分正しくて、半分は危うい。その半分のせいで、私は翌年6月に市役所から届いた封筒を見て少し青ざめることになりました。

そもそも20万円は「売上」ではない
まず引っかかりやすいのがここです。基準になるのは売上ではなく所得、つまり売上から必要経費を引いた残りの金額です。たとえばライティングの副業で年間32万円を受け取ったとして、そのうち取材の交通費や参考書籍、通信費の按分などで13万円かかっていれば、所得は19万円。この場合は20万円を超えていないことになります。
逆に、経費がほとんどかからないタイプの副業——アンケートモニターや、すでにある知識をそのまま売るような仕事——だと、売上がほぼそのまま所得になります。だから意外とあっさり20万円のラインに届く。私の一年目がまさにこれで、大した金額を稼いだつもりがないのに、気づけば基準を超えていました。
そしてこの20万円という基準が使えるのは、会社から給与をもらっていて年末調整が済んでいる人、かつ給与の支払先が1か所、といった条件を満たす場合に限られます。医療費控除やふるさと納税の関係でどのみち確定申告をするなら、20万円以下でも副業分を含めて申告することになる。ここも後から知りました。
落とし穴は所得税ではなく住民税だった
問題はここからで、20万円以下なら不要というのは、あくまで所得税の確定申告の話です。住民税にはこの免除の仕組みがありません。副業の所得が5万円でも10万円でも、原則としてお住まいの市区町村に住民税の申告が必要になります。私はこれを完全に見落としていて、一年目は何も出していませんでした。
幸い、私の場合は窓口で事情を説明して、その場で申告書を書く形で処理してもらえました。担当の方は慣れた様子で「よくあるんですよ」と言っていたので、同じ勘違いをしている人はそれなりに多いんだと思います。ただ、対応や必要書類は自治体によって差があるはずなので、そこは楽観しないほうがいいでしょう。
会社に知られたくないなら「普通徴収」
副業が会社に伝わる経路として一番現実的なのが、住民税の金額です。給与から天引き(特別徴収)される住民税の額が同僚より不自然に多いと、経理の人が気づく可能性がある。これを避けるには、確定申告書や住民税申告書にある「給与所得以外の所得に係る住民税の徴収方法」の欄で、自分で納付=普通徴収を選びます。そうすると副業分の住民税は納付書が自宅に届き、自分でコンビニなどで納める形になります。
ただし万能ではありません。自治体の運用によっては分けてもらえないケースがあると聞きますし、副業がアルバイトのような給与所得だと、給与は特別徴収に一本化されるのが原則なので分離できません。業務委託やせどりのような事業所得・雑所得なら分けやすい、という理解でおおむね合っているはずです。心配なら申告前に市区町村の課税課へ電話してしまうのが早いと思います。

一年目にやっておけばよかったこと
振り返って一番後悔しているのは、記帳を後回しにしたことです。年明けに一年分のレシートを引っ張り出す作業は、正直かなり気が滅入りました。今は副業用の口座とクレジットカードを分けて、会計ソフトに自動で取り込ませています。freeeやマネーフォワードの個人向けプランは月1,000円前後から使えて、その費用自体も経費に計上できることを考えると、時間を買う投資としては悪くない判断だったと感じています。
それと、住民税の申告書に書く「所得の種類」を自分で説明できる程度には、雑所得と事業所得の違いを整理しておくべきでした。窓口で聞かれたときに答えられず、しどろもどろになったのは我ながら情けなかったです。
副業の税金まわりは、稼ぐこと自体より地味で面白くない領域です。でも、知らないまま進むと後から時間と精神力を持っていかれる。最初の一年でつまずいた人間として、これから始める方には住民税のことだけでも先に頭に入れておいてほしいなと思っています。
ふるさと納税の上限額の計算でヒヤッとした話や、扶養の範囲で副業をする人が気になる103万・106万・130万円の壁の違いについても書いているので、あわせて確認しておくと安心だと思う。
