「ポートフォリオ、見せてもらえますか?」というメッセージがクラウドワークスに届いたのは、夜10時を過ぎた頃だった。画面を見た瞬間、手が止まった。案件はもう40件近くこなしてきたのに、それをひとまとめにして見せる場所が、私にはどこにもなかったからだ。過去の納品物をあちこちから探して貼り付け、返信するまでに3日かかった。気づいたときには、もう別のライターに決まっていた。
悔しかった。実績がなかったわけじゃない。むしろ提案文を書き直してから受注率は上がっていたし(37回落ちた提案文が38回目で通った理由)、単価交渉も少しずつ形になり始めていた(1.2円が2.8円になった実話)。それなのに、実績を「見せる形」にしていなかっただけで、声がかかるはずの案件をずっと取りこぼしていたのだ。その夜、ポートフォリオを作ると決めた。
何で作るか、Notion・STUDIO・Canvaを実際に比べてみた
候補は3つあった。Notion、STUDIO、Canva。それぞれ無料プランで、同じ実績5件を載せて試作してみた。
| ツール | 制作時間の目安 | 費用 | 向いている人 |
|---|---|---|---|
| Notion | 約40分 | 無料 | 文章中心でとにかく早く形にしたい人 |
| STUDIO | 約3時間 | 無料〜(独自ドメインは月1,000円台〜) | デザイン性を見せたいWeb・デザイン系 |
| Canva | 約1時間 | 無料(PDF書き出し可) | 提案メッセージにそのまま添付したい人 |
私が選んだのはNotionだった。埋め込みが簡単で、公開用のURLがひとつ出来上がる。土曜の午後だけを使って、実績5件・自己紹介・対応可能なジャンルをまとめたページが完成した。
ページの中身はシンプルにした。自己紹介は3行、対応可能なジャンルは箇条書きではなく「こういう案件を得意としています」という文章、実績は納品物そのものではなく、記事の見出し構成だけを抜粋して載せた。守秘義務に触れそうな数字や社名はすべて伏せ、公開する前にクライアントへ一言確認をとってからURLを提案文に貼るようにした。

ポートフォリオを送るようになって、単価がどう変わったか
一番変わったのは単価だった。それまで提案していた案件は、文字単価1.2〜1.8円が中心。ポートフォリオのURLを提案文に貼るようになって3週間後、初めて文字単価3円台、金額にして1本6,000円前後の案件からクライアント側の指名で声がかかった。提案数自体はむしろ以前より減らしている。それでも通る案件の「質」が変わった手応えは、正直あった。紹介案件がゼロから月2件に変わった時期(紹介案件がゼロから月2件に変わるまでにやったこと)とも重なっていて、実績を可視化したことがそこにもつながっていた気がする。
実績が少ない人はどうすればいいか
「実績が少なくてポートフォリオなんて作れない」と思う人もいるはずだ。私も最初の10件くらいは、お世辞にも自慢できる内容ではなかった。それでも、対応ジャンルや納期を守った件数、クライアントからの一言コメントだけで十分に材料になる。数より、「継続して仕事を任せられる人だ」と伝わるかどうかのほうが大事だった、というのが今のところの実感だ。
よくある疑問
Q. 実績を無料で公開して大丈夫?
クライアントとの契約内容によっては、公開が制限されている場合がある。私は毎回、公開前に一言確認をとるようにしている。心配な場合は、契約書を確認するか、直接クライアントに聞いてしまうのが一番早い。
Q. 更新の頻度はどれくらい?
私は案件の内容が変わるたびに差し替えている。目安としては月1回程度の見直しでも十分だと思う。
今のポートフォリオも、まだ完成形ではない。案件が増えるたびに差し替えているし、正直まだ手を抜いている箇所もある。ただ、あの夜3日かけて返信して案件を逃した経験だけは、もう二度としたくない。実績はあるのに、それを見せる場所がないというだけで機会を失うのは、単純にもったいないと今は思う。
