複業クライアントを3社掛け持ちするようになって半年、月の収入は1.4倍に増えた。数字だけ見れば順調そのものだ。ただしその裏で、同じ週に納期が3件重なって、土曜も日曜も机に張り付いていた月があったことは、あまり人に話していない。
きっかけは単純だった。1社だけだと、案件が途切れた月の収入がほぼゼロになる。それが怖くて、少しずつ取引先を増やした。半年前は1社、今は3社。文字単価はそれぞれ1.5円、2円、2.8円とばらばらで、締切のタイミングもクライアントごとに違う。だから最初は「掛け持ちすれば収入が単純に増える」としか考えていなかった。

納期が重なる「地獄の週」に起きたこと
3社目と契約して2ヶ月目、事件は起きた。A社の記事5本、B社の記事3本、C社の動画台本2本。締切を確認したら、すべて同じ週の金曜日だった。個別のスケジュールは把握していたつもりだったが、それぞれのカレンダーに書き込んだだけで、横断的に見比べたことがなかったのが原因だ。結局、木曜の夜中2時まで作業して、金曜の朝に1社だけ半日の延長をお願いすることになった。
幸い、事情を正直に伝えたら延長は快く受け入れてもらえた。だがこの経験で分かったのは、掛け持ちで本当に難しいのは執筆量そのものより、締切という「見えない交通整理」だということだ。1社なら頭の中で管理できても、3社になると人間の記憶力ではもう追いつかない。
Googleカレンダーだけでは足りなかった、今の管理方法
あの週以来、管理のやり方を変えた。まずGoogleカレンダーに全案件の締切を色分けで登録するのは変わらない。加えて、毎週日曜の夜30分だけ、翌週の「棚卸し」をする時間を作った。3社分の締切と作業時間を1枚のNotionページに並べて、1日あたりの作業可能時間(平日はだいたい2時間、休日は4時間)と照らし合わせる。もし合計作業時間が明らかにオーバーしていたら、その時点で該当クライアントに「今週の分は少し余裕を持たせてほしい」と早めに相談する。締切当日ではなく週の始めに相談するだけで、相手の受け止め方はまったく違った。
| 曜日 | 作業可能時間の目安 | 優先すること |
|---|---|---|
| 平日(本業あり) | 約2時間 | 締切が近い案件から着手 |
| 土曜 | 約4時間 | まとまった分量の執筆 |
| 日曜夜 | 約30分 | 翌週の棚卸しと締切確認 |
副業の継続案件はこう生まれる——単発で終わらせない納品のしかたの記事でも書いたが、締切を守ることは信頼につながる。ただ掛け持ちが増えるほど、守るための仕組みを先に作っておかないと、信頼どころか体を壊す。今のところ、この棚卸しを始めてから納期の重複は一度もない。
3社掛け持ちは誰にでも勧められるわけではない
正直に言うと、3社掛け持ちは収入を増やす手段として有効だが、万人向けではないとも思う。副業スキルは今の単価より伸びしろで選ぶべきだったと後悔した話で書いたように、単価が低いままの案件を増やしても作業量だけが膨らむ。掛け持ちを考えるなら、まず1社の単価を上げてから件数を増やすほうが結果的に楽だ。本業と副業を両立する時間の作り方——朝型に変えて続いた話で紹介した朝型の習慣も、複数案件を回す土台として今も続けている。
収入が1.4倍になったのは事実だが、そのぶん自由時間は減った。もし今から始めるなら、2社目に手を伸ばす前に、まず自分の1日の実働時間を正直に書き出すことをすすめたい。数字にしてみると、案外「あと1社」の余裕がないことに気づくはずだ。
